ドラマ「おせん」放送当時のファンの反応の記録

深夜のtweetで懐かしい名前を見かけたので、そのノリのまま思っていたことを書き出してみる。

注意:本記事にはドラマ最終回のネタバレがあります

ドラマ未視聴者の方は、最終回と直前回以外をお楽しみください。

今北産業

ドラマ「おせん」は、原作派からもドラマ派からも「あの最終回はないわー」と意見の一致をみた稀有なドラマである。
スタッフさんは悪くない。

おまだれ

原作を掲載誌で読んでいた派。mixiコミュ住人。
「おせん」の中では「油揚げを作ろうとしたら油揚げにならなかった話」が好きです。

ドラマが始まるまで

原作「おせん」は、イブニング誌に連載されていた、きくち正太氏の漫画である。
「おせん」というのは舞台である老舗料亭の若女将「半田 仙」の愛称。「心ある、まっすぐな料理」を中心に話が構成される。


単行本も何巻か出たのちドラマ制作が発表された。そのあたりから作者不調となり、ドラマ開始前後で一時休載となる。
休載前のきくち氏曰く「ドラマスタッフさんは悪くない」。
当時は意味が分からなかったが、こうして振り返ってみると納得のいく言葉である。

休載時点での連載内容は以下のような感じ。「次回、鰹節編完結」というあたりでの休載となった。

日本食の基本ともいうべき鰹節が、世間には「半人前」のものしか出回っていない。
このままでは「本物の味」がわかる人がいなくなる。

ドラマ開始から最終回直前回まで

ドラマ「おせん」は、蒼井優主演のドラマ。
スポンサーはAJINOMOTO。大事なことなので(ry

過去の原作付きドラマの例に違わず、mixiコミュ内でも原作派とドラマ派のケンカが勃発していた。

個人的な感想は「確かに原作から削られた部分は少なくないが、まぁこれはこれでいいのでは?」というあたり。原作からして時系列こそあるもののオムニバス形式であるため、そのまま行けば「悪くないドラマだったね」で終わるはずたった・・・

直前回

ドラマ最終話はよくある前後編構成だが、よりによってテーマが「出汁(鰹節)」。
料理(和食)を舞台にしているドラマで、出汁の話題に触れないわけにはいかないのもわかる。しかし原作の鰹節編は未完結であり元ネタがない。「普通、未完の話はドラマ化しないんじゃないか?」という予想を裏切り、最終回直前回(前編部分)は予告通り放送された。

気になる内容のほうは、ほぼ原作通り「和食が危ない」の方向ですごく説得力があり、「実は裏で原作完結編がドラマ側に提供されており、『最終回放送と同時に連載再開、TrueEnd』となる演出なのでは」という期待感も存在した。


しかしスポンサーはAJINOMOTOである。
原作の論調がAJINOMOTO商品とバッティングしていることは明らかであり、どういう結論を出すのか、大人の事情という面でも非常に気になることとなった。

最終回、そして伝説へ


結論は「何にでもケチャップをかけるのはやめよう」であった。なんだそれ。


正面から出汁に切り込めなかった事情は分からんではない。しかし直前回でさんざん煽ってきた「和食が危ない」の結論としては、あまりにもお粗末であった。

当時、慎吾ママの影響もあり「マヨラー」という言葉が一般的になってきたので、そこに警鐘を鳴らすというニュアンスであろうことはくみ取れなくはない。ならば正面から「マヨネーズかけすぎはよくない」論調であれば、展開の肩透かし感はあるものの「確かにやりすぎはよくないね」で一件落着していたのではないかと思う。

しかし何を思ったか「ケチャップかけすぎ」をひねり出したことで、完全に明後日の方向を向いてしまった。さすがにこの最終回には原作派もドラマ派からも支持されず「結局あれはなんだったのか?」がmixiコミュ内にあふれていた。

ある意味、大団円である。

たられば

  • 鰹節編に触れずに終わっていれば、物足りなさはあるものの爆死することはなかったかもしれない。
  • 正面からマヨラー批判していれば、「一石を投じた」「スポンサー様は懐が広い」という感想もあったのでは。
  • そもそも別スポンサーのほうがよかったのでは。営業担当者は原作読んでる?